『本朝文粋』の極めて本格的な注釈書で、はっきり言って、この道のプロ以外には使いこなせない本です。『本朝文粋』自体は、日本人の作った漢詩文(日本漢文)を収集した本で、平安中期の文章博士だった藤原明衡(989~1066)の撰です。明衡(あきひら)は、藤原道長の息子の関白頼通や娘の中宮彰子たちと同じ頃に生まれた人物に当たります。『本朝文粋』には、52代嵯峨朝~68代後一条朝までの17代二百数十年間の詩文427編が収められており、平安前期から中期にかけて作られた日本漢文の宝庫です。その『本朝文粋』に柿村重松が独自の注を付けたのがこの本で、しかも、注自体も漢文です(写真3枚目、4枚目)。もっとも、頭注として、現代語でつけられた訳注が付されていますが(写真5枚目)、当然、古風な現代語訳になっていますので、普通の人なら、それを分かりやすく訳してくれ、とさえ言うかも知れません。プロしか使いこなせないと申しあげるゆえんです。『本朝文粋註釈』の初版は、大正11年(1922)ですから、ちょうど100年前になりますが、出品の物は昭和43年の新修版で、それでさえ、55年も前の品物です(写真6枚目)。経年に伴う劣化は避けられず、天地(写真7、8枚目)や小口(写真9枚目)にシミなどが認められますが、貴重な本で、なかなか手に入りませんので、これを使いこなせる自信のある実力派の方は、是非この機会にお求めください。